分光分析の可能性を広げる、スペクトラ・コープはCarl Zeiss社製分光器の日本代理店です。

Carl Zeiss分光器のおはなし

Carl Zeissの技術をあなたの分光分析アプリケーションに

A spectroscope module made in Carl Zeiss company

小型分光器の分解能とは

各種小型分光装置の購入を検討中、あるいは購入済みのお客様からこのご質問を多数お受けします。
一般的に、各メーカー・商社が挙げる分解能は、検出スペクトルの半値全幅を指しています。
レーザー光やプラズマ光などのバンド幅が狭い対象では、波長に対しての高分解能は必要ですが、感度が要求される分光分析においては、波長分解能よりも高感度、そして細分化されたS/N比の方が重要です。

Carl Zeiss分光器内臓装置 Handy Lambda Ⅲが高感度、S/N比5000:1を誇る理由

浜松ホトニクス社製フォトダイオードアレイ採用

使用内臓検出素子それぞれに、独立したプリアンプ回路がついており、高い光電交換効率を確保

イオンエッチングによる収差補正タイプ凹面グレーティング採用

内臓グレーティングが収差補正タイプなので、広い範囲での検出精度が安定

Carl Zeissコーティング部門でのPDA二次光カットフィルターコート

検出素子に直にコーティングされた二次光カットフィルターで、測定した光を無駄なく検出

チタンボディ内は一部真空状態

対紫外領域での熱膨張による測定値変化を防止するため、チタンボディ・セラミックボディを採用

入射ファイバーは、クロスセクション状に配列

入射ファイバーで取り入れた光は、全て分光器内に取り入れる構造
ファイバー素線(70μm×30本)はスリット状に並べてあり、グレーティングを介してもサイズはそのまま、内臓検出素子に対して1:1で結像

Carl Zeissの分光器はなぜ優れているのか

通常のスペクトロメータ(分光器:スペクトルの強度測定)、モノクロメータ(単色分光計:多波長を含む白色光源からの必要な波長のピックアップ)は、そのほとんどが回析媒体(グレーティングなど)、入射や出射スリット、平行ビームを作り上げる光学部品(ミラーなど)によって構成され、波長データの記録では出射スリットの後ろに配置された光検出器が、グレーティングが可動している間に、分光した光を連続的に検出します。
分光器内各部の可動にはメカニカルな動き(コンピュータコントロール含む)が前提とされ、時間を要する事は勿論、それ自体が光の測定上トラブルになる事が多々御座います。
多くのアプリケーションにおいて、特に各種産業分野において、測定時間を短縮し、外的要因に影響を受けない構造を持つ分光器は、以上に挙げた問題点をクリアする画期的な製品です。 Carl Zeiss社は、1970年代後半からダイオードアレイ使用分光器開発を進めております。

ダイオードアレイ(128-1024素子)

出射スリットの位置に固定されていますので、回折された光のスペクトル全体を可能な限り広く検出します。
また、検出器自体と出射スリットの同一化により、余分なコストがかかっておらず、分光器全体の低価格化の実現に貢献しています。

Carl Zeiss社製 グレーティング(凹面収差補正フラットフィールド)

通常、分光測定に必要な光の集光やコリメーティングに必要なレンズ・ミラーの役割も併せ持っています。必要部品の軽減化は、OEM採用及びFA状での使用において大きな決め手となります。

専用光ファイバー(クロスセクションコンバータ)

入射に使われるファイバーは複数本束ねてあるバンドルファイバー型式を採っており、ファイバーの曲げによる光の減衰を減らし、入射光量を効率よく充分に供給します。
出射口は、それ自体が分光器の入射スリットになっており、複数本たばねてあるファイバーが1本ずつスリット上に並べてある設計になっています。複雑なファイバーカップリングは必要ありませんし、バンドルで入射した光を無駄なくグレーティングアレイに持って行きます。
これらの各部コンポーネンツは、Carl Zeiss社で開発された分光器本体に頑丈にモールドされており、諸環境(温度や湿度、振動など)に強い設計となっております。
諸環境下での使用が可能で各部のアライメントが必要なく、高速(MAX0.1ミリ秒)で測定出来るのはMMSシリーズだけです。
その斬新なアイディアの実現は1994年度のPhotonics Award受賞にも繋がりました。

MMSシリーズの技術的特性

まず、分光器を選択する際に分光器自体がどれだけの波長範囲を対象としているかが、最も重要な基準となります。それに続くのは、スペクトル自体と光の強度に対する分解能が挙げられます。
この分解能の定義というのが、分光器製品ごとに明確に定義されない場合がありますので、Carl Zeiss社としての考え方をここに記させて頂きます。

波長分解能

波長分解能の定義として、主に以下の4つの要因が用いられています。
レイリー基準 ΔλRayleigh(DIN Standard:ドイツ標準規格)
線幅(半値幅) ΔλFWHM
素子分解能 Sub-pixel resolution
素子の分散 ΔλIPixel

レイリー基準:

円形開口を持ったレンズ系が無収差の時、点物体の像は、同心の輪によって囲まれた有限の大きさの円板として現れる。2つの点の内、1つの像の中心が始めの最小の輪の上に落ちるように2つの点が分離していると、その2つの点はレイリー基準により解像していると言う。
装置の対物レンズから観察した時に、点物体の分離角が存在する条件は、Φ=1.22λ / a(ここで、λは光の波長、aは対物レンズの口径)
これら4つの要因を、定義を用いる事により、分光器は3つの大きな性能を発揮します。

スペクトルを分割する

ドイツ標準規格(DIN)によれば、レイリー基準はスペクトル線の分割に関連していると言われております。
レイリー基準は、分断された2つのスペクトルΔλRayleighの間隔が、どれだけ広くとられているかという事をまず念頭に置き、それらの分割されたスペクトル線Δλlineの各々の間隔幅が、スペクトル全体の幅より著しく小さくされる事が望まれます。
これは、スペクトル自体を分割する上での重要な条件となります。

2 lines with Imax,1=Imax,2 are separated, if ΔIdecrease ≧19%

スペクトル線の幅

スペクトル線Δλlineの各々の間隔幅の測定を可能とするには、分光器でそれぞれの線自体を、線のスペクトル幅以内で広げる事が前提でなければいけません。
これを行うには、分光器によって作られる線自体の広がりΔλFWHMを知る事が非常に重要になります。

ΔλFWHM=λ2(Imax/2)?λ1(Imax/2)

ΔλFWHM=0.8xΔλRayleigh

波長精度

絶対的な波長の位置λを決めるには、特定のスペクトル内の単線への波長精度λ±が効いてきます。分光器内の測定では、このλ±が重要となってきます。このパラメータ値は、読み出し部(検出素子、出射スリット等)のポジショニングの正確性(=決して動いてはならない)と、それらの再現性がいかに安定しているかの2つの要因に依存します。
これとは逆に波長の絶対精度は、分光器の焦点距離や光に対しての分散に間接的に依存しているため、ある意味では、分解能として特定する事は困難となりますので、通常、分解能は、線幅をメーカー側が選びます。分光器の再現性は、主に、メカ部分の安定度と温度ドリフトによって大きく影響されます。ですが、以上の要因は、モールド加工されている “MMSシリーズ”においては、全く心配する必要がありません。

分散

フォトダイオードアレイ1素子に対する波長Δλpixelは、波長分解能としては意味をなしません。なぜなら、それは単にフォトダイオードアレイ上のリニアな分散であるからです。1素子あたりのリニアな分散と波長分解能は、入口スリットの幅と分光器のイメージング特性(焦点距離等)を通して関連しています。
“MMSシリーズ”の場合は入口スリットが3素子分のイメージに設計されてますので、波長分解能ΔλRayleighは、Δλpixelの3倍と考えられます。

↑ このページのトップへもどる